塗料と塗装の基礎知識について ②
■ 塗料ってどんなところに使われているの??
塗料は様々な場所や用途に使われています。
①建築物: 家やビル、橋などの外壁や内壁に使われ、保護と装飾の目的で塗られます。
②自動車: 車のボディには、錆びや摩耗を防ぐために塗料が塗られています。また、美観を向上させるための色や光沢も提供します。
③家具: 木製や金属製の家具にも塗料が使用され、美観を向上させるとともに、木材の保護や耐久性の向上に役立ちます。
④工業製品: 電子機器、機械部品、工具など、多くの工業製品に塗料が使用され、保護、識別、美観向上などの目的があります。
⑤船舶: 船体には特殊な塗料が使用され、海水の腐食や付着物から保護します。
⑥道路標示: 道路のラインや交通標識にも特殊な塗料が使われています。これにより視認性が向上し、交通の安全を促進します。
これらはほんの一例で、塗料はその耐久性、色の多様性、特定の機能性を求められるあらゆるところに使用されています。
皆さんが道を歩いて目にするもの、そのほとんどに塗料が使われているといっても過言ではないでしょうか。
※東京スカイツリーの塗料は、大日本塗料株式会社の厚膜形ふっ素樹脂塗料「VフロンHB」が採用されています。
「VフロンHB」は、大日本塗料が他社に先駆けて開発した商品で、耐久性の向上やVOC抑制 ・低減効果などが評価され、橋梁・プラント・鉄塔などの新設、塗替えにおいて採用実績が増えてきている注目製品です。

■ 塗料の種類
一般に塗料といっても細かく分類していくと多岐多様にわたります。
本当に様々な塗料があり、様々な用途で使われています。
一般に「ペンキ」という言葉でひとくくりにされていますが、それぞれの被塗物、目的によって様々な塗料があるということがわかりますね。
スクロールできます→
対象別 | 塗装工程別 | 顔料の種類別 | 耐候性と環境別 |
建設用 船舶用 重防食 自動車用 家庭用など |
上塗り塗料 中塗り塗料 下塗り塗料 下地塗料など |
ジンクリッチペイント グラファイトペイント アルミニウムペイント 仁丹ペイント など |
水中用塗料 屋外塗料 屋内塗料 など |
塗膜の性状別 | 特殊機能別 | 被塗装物別 | 塗料の状態別 |
多彩模様塗料 複層仕上げ塗料 つや無し塗料 つや有り塗料 透明塗料 着色塗料など |
電気絶縁塗料 貼紙防止塗料 結露防止塗料 滑り止め塗料 真空蒸着用塗料 ストリッパブル塗料 示温塗料 防音・防振塗料 蛍光・発光塗料 耐熱・防火塗料 耐油・耐薬品塗料 防カビ塗料 船底塗料 さび止め塗料 など |
プラスチック用 紙用 ゴム・被革用 コンクリート用 木工用 軽合金用 鉄鋼用など |
紛体塗料 水溶性塗料 エマルション塗料 ゾル型塗料 多液型塗料 調合ペイント など |
成分(塗膜主要素)別 | 塗装方法別 | 乾燥方法別 | |
塩化ゴム系塗料 ポリエステル樹脂塗料 ウレタン樹脂塗料 エポキシ樹脂塗料 アクリル樹脂塗料 ビニル樹脂塗料 アミノアルキド樹脂塗料 アルキド樹脂塗料 ニトロセルロース塗料 油性塗料など |
カーテン塗り用塗料 電着塗料 浸し塗り用塗料 ローラー塗り用塗料 静電塗装用塗料 吹付け塗り用塗料 刷毛塗り用塗料 など |
電子線硬化塗料 紫外線硬化塗料 触媒硬化塗料 冷却固化塗料 焼付乾燥塗料 自然乾燥塗料 など |
■ 塗料の種類(主に建築用)
建設用、建築用塗料を分類すると、大きく「水性」と「溶剤」に分かれます。
また、溶剤の中でも「強溶剤」と「弱溶剤」に分かれます。
水性は水でうすめるもの、強溶剤はラッカーシンナーなどでうすめるもの、弱溶剤は塗料用シンナー、ペイントうすめ液などを使います。
強溶剤は「これぞシンナー」という臭いがします。弱溶剤は「灯油のような」臭いがします。
うすめ液を間違えないようにしてください!
近年では水性塗料の性能がかなり向上しており、臭いの観点からも外壁などは水性塗料が多く使われるようになりました。
鉄部の塗り替えは弱溶剤塗料が主流です。ただし、海の近くなどの塩害地域では強溶剤塗料も使われます。
しかしながら、強溶剤塗料は臭気が強いため注意が必要です!

■ 水性塗料と溶剤系塗料の特徴
水性塗料は水で希釈し、溶剤系塗料はシンナーで希釈します。
水性塗料の方が臭気が少なく、安全と言われているのはシンナーを使用しないからです。
また、それぞれに1液型、2液型があります。
2液型は主剤と硬化剤を決められた比率で混同するのに対し、1液型はその手間がいらないため、作業性に優れています。
2液型塗料は主剤と硬化剤が反応することで塗膜を形成するため、1液型よりも耐久性に優れていると一般的に言われています。
2液型塗料は硬化剤を入れ忘れたり、計量が不十分だったりすると完全な塗膜にならないので、プロ向きの材料と言えます。

■ 塗料を用途別に分類
塗装される部位の特性に応じて塗料が選ばれ、耐久性、耐候性、美観、保護機能などが考慮されます。
さらに、塗装を「どうしたいのか」で選ぶ塗料が変わります。
「長持ちさせたい」「汚れがつかないようにしたい」「遮熱したい」、あるいはそのいくつかを「兼ねたい」などで塗装する塗料が変わります。
塗料の世界は実に興味深いものです!