2024.01.15

塗料と塗装の基礎知識について ③

■ 塗料の成分

塗料の成分は大きく2つに分けられます。

塗膜になる成分ならない成分です。

 

塗膜にならない成分は、シンナーや水などの希釈で使うようなものです。
これは塗料が乾燥するときに揮発していきます。

 

次に塗膜になる成分です。

顔料樹脂添加剤などに大別されます。

顔料の役割のひとつは色をつくることです。
真っ赤や濃い色の塗料の値段が上がるのは鮮やかで高い顔料が多く使われるからです。

添加剤は消泡剤や艶消し剤などです。

よく夜店で売っている「水あめ」を例にとると、水あめ本体が「樹脂」、色をつけているのが「顔料」、甘くしているのが「添加剤」という感じでしょうか。

その中で、塗料の骨格を決めるといわれている成分が樹脂です。
アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、エポキシなどそれぞれ特徴を持っており、これで塗料の性能が決まります。
ファインウレタンや水性セラミシリコンなど製品名にも使用されています。

 

塗料の成分表

塗料の成分

 

 

■ 塗膜の厚み

塗料によって違いはありますが、塗膜の厚みはだいたい20~30ミクロンと言われています。

髪の毛よりも薄い膜を形成します。

よく「こんなひび割れ、ペンキを塗れば埋まるよ!」なんて言う人がいますが、20~30ミクロンでは絶対に埋まらないことがわかると思います。

下地の割れや凹凸などはパテで補修してから塗装にかかるのはそのためです。

 

 

「塗膜(塗料が乾燥して残ったもの)」の厚みはどれくらいでしょうか?

「塗膜(1回塗り分)」と「髪の毛」と「アルミホイル」の3つを、膜厚の厚い順で並べてみました。

  • 髪の毛(70-80μ)

  • 塗膜(1回塗り)(20-30μ)

  • アルミホイル(15-20μ)

※μ:ミクロンメーターは1000分の1㎜

 

 

■ 塗料の材質とメンテナンスサイクル・費用の関係

現在塗料に使われている主な樹脂は、アクリルウレタンシリコンフッ素の4種類です。

一般的な目安として言われている塗り替え周期は、アクリルで5~8年、ウレタンで8~10年、シリコンで10~12年、フッ素は15年前後です。

近年フッ素以上の耐候性を誇る無機塗料も登場しています。

 

塗り替え周期はあくまで目安であり、塗った建物の環境などによって左右されます。

塗料は樹脂の質の良いものが耐久性に優れ、それと比例して価格も高くなります。
つまり、良いものは高い!ということです。

また、塗料にはこのほかにも特殊な機能を持った塗料や装飾性の高い高意匠塗料などもあります。

しかし塗料は半製品ですので、品質の高い施工をして初めて完全な塗膜になります。

施工品質の重要性が塗料の性能を大きく左右するのです。

 

塗料の材質とメンテナンスサイクル・費用の関係