2024.03.12

現場での不具合事例と対策について ■シーリング関連

塗装の仕事をしていると「○○をすると不具合が起きる」っていう事があるかと思います

。それは下地処理に使ったパテとの問題であったり、先打ちしたシーリング材との相性、または塗装に際してのうっかりミスだったりします。この様な事柄について書こうとしても参考文献は少なく、書いてある場合もあまり読みたくない塗料の色見本帳やカタログの注意書きの中に書いてある位なので、皆様も先輩から教えて貰ったり、あまりありがたくない事ですが実際に経験して「そうなのか!」と認識したり様々ではないかと思います。

また希釈率や乾燥時間などカタログ記載の通りに施工したにも関わらず、予期せぬ不具合が起きてしまったといったこともあるかと思います。施工中は問題なくても施工後に発生する場合もあり、クレームにつながってしまうこともあるのではないでしょうか。

今回はよく起こりやすい不具合事例と対策、対処法をまとめました。

■シーリング関連

①シーリング上の塗膜が著しく汚れてしまった。ベタベタする。

一般的なシーリング材には可塑剤と呼ばれるものが配合されています。可塑剤は製品に柔軟性をもたせるために配合される材料で,世の中でも様々な材料・製品に使われています。この可塑剤には不思議な性質があり,可塑剤が配合された製品の表面にモノが触れていると,触れているモノに移行することがあります。可塑剤がシーリング上の塗膜に移行することで塗膜が軟化してしまい、汚染の原因になります。打ち替える前のシーリング材から可塑剤が移行し汚染を引き起こす場合もありますので、注意が必要です。

またシリコンシーリングの油分による汚染も注意が必要です。

対策としては、ノンブリードタイプのシーリング材を使用する。既存のシーリング材を入念に撤去し、打ち替える。IPペイント「軟質塩ビコート」などの可塑剤の影響を受けにくい塗料を使用する。などが挙げられます。

②シーリング材の硬化不良や剥離が発生した。

主に2成分型のシーリング材を打設した場合に起こる不具合です。専用の撹拌機で決められた時間しっかり混ぜたのに硬化不良や剥離が発生してしまう事例がありました。

原因としては厚みが確保できておらず、薄すぎるとシーリング材が硬化時に空気中の水分の影響を受けて不活性に陥り易く,硬化が不充分になったり,固まらなくなってしまったことが考えられます。「薄層未硬化現象」ともいわれます。また厚みが確保できていないとシーリング材の強度にも影響するため、剥離やひび割れの原因となります。

また、剥離の原因としてはプライマーの塗り忘れ(部分的なもの)によるものが多いようですので、しっかりとプライマーを塗布することで剥離のリスクを抑えられます。

③シーリング材上の塗料の硬化不良が発生した。

2成分型の変性シリコンシーリング(ノンブリードタイプ)やポリウレタンシーリングの上に油性塗料やフタル酸系塗料、合成樹脂調合ペイントなどを塗ると塗料に含まれる被膜形成促進剤がシーリングの成分と反応してしまい、塗料が乾燥しなくなってしまいます。一部の1液型ターペン可溶ウレタン樹脂塗料でも硬化不良が起きる場合もあります。塗料メーカーやシーリングメーカーによってはそれぞれ適合表を作成していますので、そちらを確認して頂くのが確実です。

対策としてはシーリング上には油性塗料、フタル酸系塗料、合成樹脂調合ペイントは使用しない、適合表を確認し、塗料選定するなどが挙げられます。

 

今回は不具合について取り上げました。シールと塗装やパテと塗装といったように異なる材料の塗り重ねや取合いなどでの注意点が多いように感じます。他にも載せきれない注意事項や事例が多く存在します。何かお困りごとがありましたらお問い合わせ頂けますようお願い致します。当たり前のことも多く、「もう知ってるよ」ということもあるかと思いますが、現場でのトラブルが少しでも少なくなれば幸いです。