2024.03.12

改修工事とアスベスト含有「塗装仕上塗材」について

今まで主として解体工事にあたってのボード類や吹き付け材についての問題と捉えていた「アスベスト含有建材」ですが、その範囲が「改修工事」の「建築仕上塗材」にまで広がる事になりました。

これにより工事を請け負う側としては、調査の実施、結果の説明、調査結果に則った飛散防止処置などを行う事となり、発注者はその責任として費用を適正に負担し、調査に協力する事が必要になります。「アスベスト」に関しては関連法規が多くありますが、各工種の様々なケースにまでは対応しきれていないため、今後の動きに注目する必要があります。

以下に現在までの改修工事に関連するマニュアル、通達を要約します。

①厚労省「石綿飛散漏洩防止対策徹底マニュアル2.20」に「改修工事も石綿則の事前調査の対象である」旨、総論の追加があり、同時期の「アスベスト分析マニュアル」の改訂においても日本建築仕上げ材協会の「過去のアスベスト含有仕上塗材一覧表」を含む記述が加えられた。

②「建築物に係る石綿の事前調査における主な留意点について」

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)により調査対象は2006年(平成18年)9月以降着工の建物以外が対象となる旨が示される。調査については「石綿則に基づく事前調査のアスベスト分析マニュアル」を参照。

③アスベスト含有「建築用仕上材」の取扱いに関しては、平成29年3月のマニュアル改訂で研究機関と業界団体の提案した処理技術指針を「参考にすることが出来る」としており、「建築物の改修・解体時における石綿含有建築用仕上塗材 からの石綿粉じん飛散防止処理技術指針」がこれにあたる。同文には「仕上塗材に石綿が含有されていても、その含有率は少なく、また合成樹脂やセメントなどの結合材によって固定されているため、使用時は既存仕上塗材層が健全な状態では飛散しない。しかし、改修工事では専用の機器類によって物理的な力を加えて、既存仕上塗材層を洗浄または除去することがあるため、これらを本指針で対象としている。」とある。

④また同文には「アスベストを含有する主材層の影響を及ぼさない処理はアスベストを含有していない一般的な仕上塗材の改修工法に準ずる」との記載があり、具体例が3つ書かれている。

 

 今回の追加項目は「石綿則」内の「事業者」にあたる施工社店にとって、調査から報告書作成、施工計画の立案・届け出に加えて見積り・積算にも深く関わってくる内容になっていますので、まず関連資料を一読されることをお奨めします。