2024.03.17

超低臭塗料特集

塗装作業に「におい」はつきものですが、人間の感覚の中で、「嗅覚=におい」は個人差が大きいと言われています。

近年、建材による「シックハウス症候群」が世に広く知られる事となり、有害物質に対する規制が行われましたが、塗装時、その「におい」ゆえにエンドユーザーから健康被害について問われる事がしばしばあります。ひと昔前まで塗料に添加する臭い消しもあったのですが、効果のバラツキや塗料自体の低臭化からなのか、現在では見かけなくなっています。

いずれにせよ、店舗や公共施設の内部塗替えではとにかく臭気の低い塗料を使用するのが、現在の主流になっています。今回は現行の「超低臭塗料」と「におい」についてまとめてみました。

 

■「におい」についての基礎知識

「におい」は、様々な「におい物質」の複合体で大気中に存在し、あまりにも多種多様なため、世界共通の単位がありません。測定方法はガスクロマトグラフィなどの分析器を使った「成分濃度表示法」と、人の嗅覚により臭いの強さや快・不快を表す「嗅覚測定法」の2種類に分けられます。

私たちがときおり耳にする「ppm」は、アンモニア・硫化水素といった単一成分の場合の濃度であり、通常の複合臭は「臭気指数・濃度」で表され、これらを算出できる資格に「臭気判定士」があります。

これ以外にも、においの強さを6段階で表示する「臭気強度表示法」や、においの快・不快を表示する「快・不快表示法」などがあります。

においを数値化するための「におい測定器」には、「レベル表示」と「臭気指数」という2つの表示方法があり、「レベル表示」は無臭である場所とにおいが気になる場所を測定して、その差を比較します。一方、「臭気指数」は測定した数値を元に臭気指数を計算して、00から40までの間の数値で表現します。簡単に測定作業が行えるのですが、価格が高いのでレンタルも多く行われています。

 

室内環境対応形水系塗料『Cozy Pak(コージーパック)』~低臭気に特化したVOCフリー塗料~ 大日本塗料株式会社

現在、水性塗料はおしなべて低臭化していますが、同時に「防カビ性」「抗菌性」などプラスアルファの機能を謳っている場合がほとんどです。

そんな中で特異なのがこの大日本塗料の『Cozy Pack(コージーパック)』です。この材料が目指したのは「極限まで臭いを抑える事」なので、そのために揮発性有機溶剤を全く含まない特殊エマルション設計を行っています。

臭気が殆どないため、作業中の臭気の問題から夜間に行われていた商業施設の昼間作業が可能になり、病院や空港などの24時間稼働の施設や、オフィスビルやミュージアムなどの空調一括管理施設でも低リスクな塗装工事が行えます。

 

室内用高性能(超低臭・消臭・抗菌・抗ウイルス)塗料『パーフェクトインテリア エアークリーン』 日本ペイント株式会社

「NEDO」(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の新技術「可視光応答型光触媒」を製品化した高性能内装用塗料が、この『パーフェクトインテリア エアークリーン』です。

過去にも内装用の光触媒塗料はありましたが、効果を発現するために十分な紫外線量を室内照明から得る事が難しく、思ったような性能を実感できないままでした。

本商品は新技術の採用により弱い室内照明にも反応し、菌やウイルスの繁殖を抑制するとともに防藻・防カビ性、消臭性、アルデヒド類の吸着機能を併せ持った高機能・高性能な内装用塗料です。     

加えて特殊エマルションの採用により従来の低臭エマルション塗料よりもVOC(揮発性有機溶剤)含有量も少なく、超低臭気で、塗装中・塗装後も嫌な臭いが残りません。