すごい下塗り材特集!
「○○には塗料が塗れない」という場合、皆様でしたら○○には何が入りますか?
ステンレスや銅などの金属、シリコンシールやPPなどの樹脂、石材、あるいは湿潤面や油面といったものが浮かぶでしょうか?
ここで気が付くことがあるのですが、「塗れない」には「塗料が付着しない」「塗れる状態ではない」などの区分があります。
しかし、キャリアの長い方ほど「大体どんなのでも塗れるのでは?」と感じるのではないでしょうか?
確かにその通りで「○○用プライマー」「○○用シーラー」など、通常は「塗れないもの」や「塗れない状態」に特化した下塗材が販売されており、
探してみると何とかなるケースが多くあります。
今回は知っているようで知らない、そんな「すごい下塗材」たちをご紹介します。
■「シーラー」「プライマー」「フィラー」って何が違うの?
「シーラー」「プライマー」「フィラー」など下塗材の区分はいくつかあります。
「シーラー」は英語のseal(塞ぐ、封じる)が語源で吸込み止め、付着力向上の役割を担い、「プライマー」は「最初の」を意味する「primary」から派生して、
主にこちらは金属面などの吸込みの無い面に多く使われ、シーラー同様付着力向上の役割を担います。
「フィラー」は「filler(充填材・目止めなど)」で、下地の凹凸を埋める役割も持つ下地調整材に区分されます。
しかしこれらの語句については、例えばコンクリート面の場合、商品名には「コンクリートGシーラー」「マルチタイルコンクリートプライマー」 のようにどちらも使われており、
必ずしも厳密な使い分けがなされている訳ではありません。
■高浸透性鉄筋防錆剤『ペガサビン』(ペガサス株式会社製造)
この商品は打ち放しコンクリートの軽度の鉄筋腐食に対して、コンクリートを斫(はつ)らずに「塗りこむ」ことによって改修を行う防錆材です。
たとえ軽度であっても鉄筋の腐食を放置しておけば劣化が進み、周囲のコンクリートに割れが生じます。
これを補修するとなれば周辺コンクリートを斫ってから鉄筋に防錆処置を施し、樹脂モルタル等で埋め戻すという大変な作業になります。
補修箇所の被り厚が30㎜以内であれば『ペガサビン』を表面に塗ることで、内部に亜硝酸イオンが浸透し、鉄と結びついて鉄筋表面に不動態被膜を形成します。
もちろん表面を斫って防錆処理する場合にも使えますし、『ペガサビン』を混ぜたモルタルで埋め戻し作業を行えば、周辺の鉄筋の腐食防止にも効果を発揮します。
表面に仕上材(吹付けタイルやリシンなど)が施工してあると鉄筋まで浸透せず、効果が出ませんが、剥離工程を伴う改修の際など検討してみてはいかがでしょうか?
(*ただし酸性剥離剤を用いる場合は中和処理が必要になりますのでご注意下さい。)
■柔軟形高付着性カチオン樹脂モルタル『FUJIKAWAローラーワン』
床や壁などの下地調整で、「薄塗りでは下地からのひび割れに追従できないが、かと言ってコテで厚塗りするのも…」と思ったことはないでしょうか?
マンションなどの手摺壁天端は平滑仕上げの場合も多く、「ひび割れ補修で樹脂フィラーを薄塗りするとひび割れが再発してしまう」「厚塗りするとひび割れには追従できるが、
見た目は悪く汚れやすい」など、仕上げ方法で悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そんな問題点を解決してくれる下地調整材、富士川建材工業『ローラーワン』が登場しました。
この商品は一材型のカチオン系樹脂モルタルですが、優れた柔軟性があり下地の動きや変形などへの追従性に効果を発揮します。
また、ローラーワンという名称の通り、ローラー施工用に開発されているため、作業性にも優れ、
加えて従来のカチオンフィラーやセメントフィラーに比べると粒子がかなりきめ細かく、滑らかな仕上がりとなるため、仕上塗料の上がりも良好になります。
使用できる個所はコンクリート、モルタルからサイディング、ケイカル板、FRPまで様々な下地と幅広く、適用上塗りについても水性塗料はもちろん、
溶剤系にも対応可能で、外壁から防水の下地調整まで幅広く活躍できるだけでなく、様々な仕上材に対応できる商品となっています。
画期的な柔軟形カチオン樹脂モルタルをぜひ一度お試しください。
■無機質下地専用 水性浸透強化剤『ガッチリ浸透プライマー』
ボロボロのモルタルやブロック塀などの脆弱下地や大谷石などの吸い込みの多い下地の場合、仕上げ材を塗布しても本来の付着力が発揮できず剥離の原因になります。
吸い込みを止めるにも下塗り材を多く使ってしまい想定より材料代が高くなってしまうこともよくあるのではないでしょうか。
そんな脆弱下地等の下地強化や吸い込み止めにお勧めしたいのが、「ガッチリ浸透プライマーW」です。
ガッチリ浸透プライマーは、塗料の塗り替え用プライマーではなく、脆い下地を強化して、上塗りを可能にする浸透強化剤になります。
特許を取得した独特の浸透メカニズムによりナノ粒子が下地にしっかり浸透し、強化することで上塗りの施工を可能にしてくれます。
浸透して下地の表面を塗装可能な状態へ強化するため、基本的に無機系の下地が対象です。
上塗り適正ですが、セメント系材料や水性塗料であれば特別な処理をせずに上塗りとして塗布可能です。
かつては脆弱なモルタル下地や大谷石、漆喰、繊維壁など、吸込みが大きすぎる故に「塗装できない」部位が多くありましたが、
この下塗材の登場により多くのものが「塗装できる」部位へと変わりました。
■要注意箇所と適応下塗材
さて、塗装で一番注意しなければならないのは「(普通は)塗れない、塗らない」面でしょう。それでも塗らねばならない時もあります。以下に注意すべき塗付面に用いる主な下塗材についてまとめてみました。同等品のある商品もありますが一部ご紹介します。
下地 |
下塗商品名例 |
荷姿 |
メーカー名 |
塩ビ鋼板 |
塩ビゾルウレタンプライマー |
5.5Kg/Set |
日本ペイント |
カイナー系フッ素樹脂 |
ABF#720プライマー(テスト要) |
14Kg/缶 |
AGCコーテック |
FRP防水トップコート |
ジョリエースJU-70 |
4Kg/缶 |
アイカ工業 |
油面床 |
ユータック油面プライマーS |
16Kg/Set |
日本特殊塗料 |
強化コンクリート床 |
ボウジンテックス強化コンクリート用プライマーⅡ |
12Kg/Set |
水谷ペイント |
油面+強化コンクリート床 |
フロアトップ油面強化コンクリート用プライマー |
20Kg/Set |
アトミクス |
湿潤面 |
アトムウェットガードプライマー |
9Kg/Set |
アトミクス |
シリコンシーリング |
シープラ |
1Kg/缶 |
関西ペイント |
ポリサルファイドシーリング |
シープラ | 1Kg/缶 |
関西ペイント |