「強力はがし剤」十番勝負!!
春秋は集合住宅の大規模修繕工事が増えてくる季節です。
この時期、特にお問い合わせ頂くのが「塗料がくっついちゃったんだけど何かで落とせないか?」というものです。
今回はそんなケースを想定して、「神東塗料の強力はがし剤で除去したら…」を検証してみます。
この「リムーバーZ」は、剥離剤の決定版として今でも多くの方に愛用されており、建設現場のみならず工場などでも油分の除去、接着材の除去で活躍しています。
その効果は絶大で「ラベルを剥がそうとしてスプレーしていたら飛沫で床塗料が溶けた‥」という逸話もあるほどです。
主成分はジクロロメタンやアルコール系といった有機溶剤ですが、注意書きには「プラスチック、ゴム類には不向き」とあります。
さてどんな結果になったか、ご覧下さい。
【状況設定】
改修工事中に塗料が付着してしまったらしいのですが、気づかずに帰ってしまいました。
2日経って現場に行くと、監督から「あそこにペンキついてるよ。きれいに落としといて。」と言われて、確認すると確かに塗料が付いていましたので「リムーバーZ」を噴霧後にウエス拭きによる除去を試みました。
実験に使用したのは「1液弱溶剤シリコン樹脂塗料(茶色)」「2液弱溶剤ウレタン塗料(白)」「1液ウレタン防水材主材(ブルーグレー)」の3種類としました。
■アルミへの塗料付着
1番勝負:アルミ+「1液弱溶剤シリコン樹脂塗料(茶色)」
2番勝負:アルミ+「2液弱溶剤ウレタン樹脂塗料(白)」
3番勝負:アルミ+「1液ウレタン防水材主材(ブルーグレー)」
【結果】
作業に関しては1番勝負の「1液弱溶剤シリコン」と3番勝負の「1液ウレタン防水材」は1回の作業で除去できました。
2番勝負の「2液ウレタン塗料」のみ除去に2回拭きを要しました。
1~3番とも除去後にアルミ表面に曇りがありましたが、これは剥離剤成分の残留物だったようで、塗料用シンナー拭き+空拭きで曇りはとれました。
アルミ素地に対しての使用には問題を認めませんでした。
■ガラスへの塗料付着
4番勝負:ガラス+3種塗料
【結果】「2液ウレタン」のみ除去に2回作業が必要でした。3塗料ともガラスには変質等見られません。
■長尺塩ビシートへの塗料付着
5番勝負:長尺+「1液弱溶剤シリコン樹脂塗料(茶色)」
6番勝負:長尺+「2液弱溶剤ウレタン樹脂塗料(白)」
7番勝負:長尺+「1液ウレタン防水材主材(ブルーグレー)」
【結果】
作業に関しては5番勝負の「1液弱溶剤シリコン」と7番勝負の「1液ウレタン防水材」は2回の作業で除去できました。
やはり6番勝負の「2液ウレタン塗料」のみ除去に2回拭きを要しただけでなく、凹部に入り込んだものはウエスだけでは上手く除去できませんでした。
ブラシを併用するともう少しキレイに除去できるかと思います。
7番「1液ウレタン防水材」は塗料が残った状態ですが、これらは指でとれてしまう状態です。
長尺シートの状況は全ての状況で「凹部のツヤびけが認められる」という状態で、場合によってはセーフなのですが、判断はお任せするしかない状態です。
6番で見られる様に「2液ウレタン塗料」は硬化後は除去が困難になりますので、とにかくこぼさないようにするしかないという結果です。
■磁器タイルへの塗料付着
8番勝負:タイル+「1液弱溶剤シリコン樹脂塗料(茶色)」
9番勝負:タイル+「2液弱溶剤ウレタン樹脂塗料(白)」
10番勝負:タイル+「1液ウレタン防水材主材(ブルーグレー)」
【結果】
作業に関しては8番勝負、10番勝負とも磁器タイル本体の付着塗料は1回の作業で除去ができ、9番勝負の「2液弱溶剤ウレタン」は2回作業が必要でしたが、タイル本体には影響なく除去できています。
今回のテストでは8番10番は目地部も異常ありませんでしたが、「2液弱溶剤ウレタン塗料」の場合は目地に白色顔料が残ってしまいました。
「1液弱溶剤シリコン塗料」も今回は合格ラインでしたが、付着塗料の粘度や目地セメントの状態により結果が変わると思いますので、ご注意下さい。目地には吸込みがありますので厄介です。
「強力はがし剤十番勝負」いかがでしたでしょうか?
「2液弱溶剤ウレタン」以外は比較的何とかなったという印象です。
2液型の場合は弱溶剤形でも硬化してしまうと付着力が強く、手がかかる印象です。
しかし予想していたよりも基材への影響が少ないまま付着塗料が除去できたと感じます。
困った時には役立つ1本です。
*ご注意:本結果はあくまでご参考として頂き、ご使用の際は必ずテスト施工を行って、使用可否はご自身でご判断下さい。