2024.05.21

下地補修の便利グッズ ①ひび割れ補修

シーラー、中塗り、上塗りという塗装工程に入る前に、やっておかなければならないのが「補修」や「下地処理」です。

コンクリート面やモルタル面のひび割れ補修、現状塗膜の肌合わせ、鉄面のさび処理や木部の欠け、凹みなど、それぞれ手がかかりますが、中途半端にすると仕上がりに影響してしまいます。

今回はそんな時、ぜひ思い出して頂きたい商品をピックアップしました。

 

■ひび割れ補修

⇨ 微弾性ではカバーできない0.3㎜以上のひび割れをどうする?

数多い躯体の劣化の中でも発生頻度が高いのが「ひび割れ」でしょう。

代表的な補修方法には「ダイレクトシール工法」「Uカットシール材充填工法」「エポキシ樹脂注入工法」があります。

また最近これらとは全く違う発想で「ひび割れをテープで補修」してしまう工法も広まって来ています。このように各種ある補修方法の中でも、ひび割れに直接充填剤を注入する「ダイレクトシール工法」は手軽に行える工法です。

「Uカットシール材充填工法」の「電動工具使用による粉塵発生が避けられない」という点をカバーしているからです。

各工法はひび割れの挙動の有無、幅によって使い分けが推奨されていますが、「ダイレクトシール工法」は一般的な改修指針では0.2㎜以下のひび割れに対して推奨されています。

しかし、0.2㎜以下のひび割れには思うように充填出来ないという経験もおありかと思います。

そのため下塗りの微弾性フィラーをひび割れに沿って増塗りし、その上から全面微弾性フィラーという処理が多く行われていますが、0.3㎜以上のひび割れでは不安が残ります。
かといって「Uカットシール材充填工法」も採用出来ない現場ではどうしたらいいでしょうか。

ひび割れの総数から見るとこのあたりの幅のものが多いのですから、ここは効率よく効果的に処理したいところです。

ひび割れをサンダーカットせずに行う補修には主に次の3パターンがあります。

①「専用ガンによる弾性エポキシ充填」タイプ

ひび割れに弾性エポキシを充填するタイプはアイカ工業㈱「ジョリシールクラックメンテ」、コニシ㈱「ボンドOGS工法」といった専用注入器と注入材がセットになっている商品です。

ともに充填剤を専用ガンを用いて低圧で充填するタイプで、0.3㎜以上のひび割れに対して有効です。
充填後にどれだけ表面を違和感なく仕上げられるかがポイントで、処理後は外装用の塗材で周囲と同じ仕上げを行うのが一般的です。

②「セメント系材料充填」タイプ

ひび割れにセメント粉末を充填するタイプで「微粒子セメント」を混和液と混合して使います。バークス環境㈱の「Sクリートクラック工法」のようにパウダーと特殊専用樹脂を使って色調を合わせてから水を加えゴムベラ等で擦り込む本格的な工法です。

床面限定ですが、ヤブハラ産業㈱の「クラックイレイザー」(カチオン系)のように水を加えて充填する簡単なものもあります。

打ち放しコンクリートなどの場合は質感が等しいので補修箇所が目立たないことが最大のメリットですが、塗装などの仕上げが無い場合は逆に難易度が上がってしまうこともあります。

やはり充填後の処理でどれだけ違和感を無くせるかが勝負です。

③「貼るひび割れ処理」タイプ

ヤグチ技工の「TNC工法」がこれに該当します。

この工法ではひび割れ幅1㎜未満は充填剤を使いません。
ひび割れに沿ってプライマー塗布 ⇨ テープ貼付 ⇨ 肌合わせで処理が終了です。

ひび割れに沿ってのカットも充填剤の注入も必要ありませんので、粉じん対策や面倒な清掃とも無縁です。ただ一つテープ跡を隠すために仕上げパターンが「ゆず肌ローラー仕上げ」に限定されてしまうので使用現場も限定されます。