2025.08.04

猛暑シーズン到来!マンション・戸建て塗替え時の熱中症対策!

猛暑シーズン到来!マンション・戸建て塗替え時の熱中症対策!

年々厳しさを増す日本の夏。2025年も例外ではなく、猛暑が予想されています。外壁塗装や屋根塗装といった塗替え工事は、真夏の過酷な環境で行われることも少なくありません。こうした現場では、職人さんだけでなく、居住者の方も熱中症のリスクに晒される可能性があります。

本記事では「塗装現場における熱中症対策」をテーマに、施工業者・施主双方が押さえておきたい最新情報をまとめました。厚生労働省の指針や現場の具体的な事例を交えながら、マンションや戸建ての塗替え時にできる熱中症対策をご紹介します。

なぜ夏の塗替え工事は熱中症リスクが高いのか?

塗替え工事が行われる夏場は、35℃を超える猛暑日も珍しくありません。加えて、塗装現場特有の要因が熱中症リスクを高めます。

  • 足場や外壁の照り返しによる体感温度の上昇:金属足場や屋上・外壁の反射熱は気温以上の暑さを感じさせます。
  • 養生による風通しの悪化:窓をビニールで覆うため、居住空間の換気が制限され、室内温度が上がります。
  • 空調の制限:エアコンの室外機周辺が作業エリアの場合、使用が制限されることがあります。

特にマンションでは足場が高層に設置され、地表からの熱に加えて強い日射やビル風の影響で体感温度がさらに上昇します。戸建てでも屋根作業時は直射日光を長時間浴びるため、現場全体が高リスク環境となります。

厚生労働省が推奨する熱中症予防の基本

厚生労働省の「職場における熱中症予防のためのガイドライン」では、以下の3つを基本対策として挙げています。

  • 水分・塩分のこまめな補給
  • 暑熱順化(徐々に体を暑さに慣らす)
  • 作業時間・休憩時間の適切な設定

また、2025年6月から事業者に熱中症対策の義務化がスタートしました。具体的には、WBGT(暑さ指数)に基づく休憩時間の確保や、作業前の体調確認が求められています。

例えばWBGTが31℃以上の場合、厚労省は1時間あたり15分以上の休憩を推奨しており、炎天下での連続作業を避けるよう呼びかけています。

施工業者が行うべき具体的な熱中症対策

猛暑の塗装現場では、以下のような具体的な対策が有効です。

  • 作業時間の工夫:午前中や夕方など比較的涼しい時間帯に作業を集中。
  • 休憩スペースの確保:エアコンが効いた休憩所や簡易テントでの休息。
  • 空調服や冷却グッズの導入:ファン付き作業服や冷却タオルの活用。
  • WBGT(暑さ指数)の活用:現場にWBGT計を設置し、指数に応じた作業中断基準を設定。
  • 作業員の体調確認:朝礼時の体調チェックや日報での疲労度申告。
  • 相互監視の徹底:自分の体調に気を付けるとともに仲間の様子にも気を配る。

現場での事故事例と改善策

ある戸建て塗装現場では、職人が午後2時ごろに軽度の熱中症症状(めまい・吐き気)を訴え、作業を中断しました。原因は「水分補給の不足」と「直射日光下での長時間作業」でした。この事例を踏まえ、業者は午前10時・午後3時の休憩タイミングに塩分補給を組み合わせた水分摂取を義務化し、症状の再発を防ぎました。日中で気温が最高となるのは13時頃が一般的ですが、熱中症事故の発生は14時から16時の間に発生している例が多いのも懸念すべきです。

空調服・日除けの導入効果

最近では空調服や日除けシートの導入が進んでいます。足場全体に遮光ネットを張ることで直射日光を軽減し、空調服で汗の蒸発を促すことで体温上昇を防ぎます。これにより作業効率が約20%改善した事例も報告されています。

居住者が注意すべきポイント

マンションや戸建ての住民も、工事中は以下の点に注意が必要です。

  • エアコンの使用可否の確認:事前に施工業者に確認し、必要に応じてポータブルクーラーや扇風機を準備。
  • 窓の養生による室温上昇への対策:遮熱カーテンや簡易断熱シートを活用。
  • 高齢者や子供への配慮:特に体温調節が苦手な方は一時的に外出するなど環境を調整。

工事前に確認したいチェックリスト

  • 工事期間中のエアコン使用制限はあるか?
  • 窓の養生による換気・採光の制限はどの程度か?
  • 高齢者・子供の熱中症リスクを考慮した日中の過ごし方をどうするか?
  • ポータブル冷房機器や一時避難先(図書館・カフェなど)の確保はできているか?

熱中症の初期症状と応急処置

万が一熱中症が発生した場合、早期対応が重要です。初期症状としては、めまい・立ちくらみ・大量の発汗・倦怠感などが挙げられます。

  • すぐに涼しい場所へ移動する
  • 衣服を緩め、体を冷やす(首・脇・股関節)
  • 水分・塩分を摂取(意識がはっきりしている場合)
  • 一人で水分がとれないなど、症状が改善しない場合は救急要請
  • ※これらをまとめた緊急時マニュアルの作成と作業員への周知が絶対に必要です

まとめ:計画的な熱中症対策で安心・安全な塗替え工事を

猛暑の中での塗替え工事は、施工業者と居住者の双方にとってリスクを伴います。しかし、事前の計画と適切な対策により、熱中症のリスクを大幅に下げることが可能です。施工前には必ず業者と対策について相談し、安全第一で工事を進めましょう。

▼参考:厚生労働省「職場における熱中症予防のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001521140.pdf