「低VOC塗料とは?環境にやさしい塗装のすすめ!」
低VOC塗料とは?環境にやさしい塗装のすすめ!
近年、環境にやさしい建材・塗料への注目が高まっています。その中でも、建築やリフォームの現場でよく耳にするのが「低VOC塗料」という言葉です。
しかし、低VOCとは具体的にどのような特徴があり、どのような効果があるのでしょうか?また、一般的な塗料との違いや、環境や健康への影響はどうなっているのでしょうか?
この記事では、低VOC塗料の基礎知識から選び方、環境や健康へのメリット、施工時の注意点までを、わかりやすく解説します。
VOC(揮発性有機化合物)とは?
まずは低VOC塗料を理解するために、VOCについて知る必要があります。
VOCとはVolatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略で、常温で揮発しやすい有機化合物の総称です。代表的なものにはトルエン、キシレン、ホルムアルデヒドなどがあり、これらは塗料や接着剤、溶剤などに含まれています。
VOCは大気中に揮発しやすく、シックハウス症候群の原因や大気汚染(光化学スモッグ)の要因にもなります。特に建築現場やリフォーム後の住宅での室内空気汚染は、住む人の健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。
VOCがもたらす健康リスク
- 目や喉の刺激、頭痛、吐き気
- アレルギー症状や呼吸器への影響
- 長期的な曝露による発がん性リスク
特に小さな子どもや高齢者、アレルギー体質の方は影響を受けやすいとされています。
低VOC塗料とは?
低VOC塗料とは、従来の塗料と比べてVOCの含有量や放散量が少ない塗料を指します。
従来の油性塗料や溶剤系塗料に比べて、有害な有機溶剤を大幅に減らしたり、水性化することでVOC排出を抑えたものが多いのが特徴です。
水性塗料であれば、トータルVOCは30%以下はあたりまえですので、「水性塗料=低VOC」といってもいいことになります。一般的に業界内では「低VOC」は「VOC1%以下」を指し、「VOC0.1%以下」を超低VOC、「VOC0.1%~0%」を「VOCフリー」と呼び、塗料選びの際に用いられており、各メーカーこれらのタイプをそろえている場合が多いです。
低VOC塗料の主な特徴
- 環境への配慮:大気汚染の原因となるVOC排出が少ない
- 健康への配慮:シックハウス症候群のリスク低減
- 施工時の安全性:施工中の臭気や刺激が少ない
低VOC塗料のメリット
低VOC塗料を選ぶことで得られるメリットは多岐にわたります。
1. 室内空気の改善
リフォームや新築後の室内で感じる独特のツンとした臭い。これは建材の接着剤や仕上げ材などに含まれているVOCが原因です。例えば仕上げの塗装工事で低VOC塗料を使用することで、その臭いが大幅に軽減され、快適な住環境が整います。
2. 健康リスクの軽減
特に小さなお子様や高齢者、ペットがいるご家庭では、体への影響を最小限に抑えることが重要です。低VOC塗料なら、施工後の居住でも安心度が高まります。余談ですが、一昔前のバーゲンのベビータンスは引き出しを開けると目にしみるツンとした臭いがするものがありました。木目のプリントを貼り付けている接着剤のVOCのためです。このタンスにベビー服をしまい、後日赤ちゃんに着せたら皮膚がかぶれたなどの被害がありました。
3. 地球環境への貢献
VOCは光化学スモッグの原因にもなります。低VOC塗料を使用することは、大気汚染の防止やCO2削減にもつながる取り組みです。
低VOC塗料のデメリットと注意点
もちろん低VOC塗料にも注意すべき点があります。
- 乾燥時間が長い:水性塗料が多く、気温や湿度によって乾燥に時間がかかることがあります。
- 価格がやや高め:環境対応や安全性を重視する分、材料コストが上がる場合があります。
- 施工技術の必要性:製品によっては施工方法が異なるため、専門的な知識が必要です。
低VOC塗料の選び方
低VOC塗料を選ぶ際には、以下のポイントを意識しましょう。
1. JISやF☆☆☆☆の表示を確認
日本では、JIS規格や建築基準法でVOCの放散基準が定められています。特に「F☆☆☆☆」マークは、最も放散量が少ないことを示す指標です。
2. 用途に応じて選ぶ
屋内か屋外か、壁面か床かなど、用途によって適した製品は異なります。
3. メーカーの情報を確認
製品ごとのVOC含有量や性能はメーカーごとに異なります。公式サイトやカタログをチェックしましょう。
最新動向:低VOC塗料市場はどう変わっている?
ここ数年、低VOC塗料市場は大きく進化しています。国内外のメーカーが積極的に新製品を投入し、住宅・商業施設・公共建築など幅広い分野で導入が進んでいます。
1. 政策による後押し
環境省はVOC削減のための取り組みを強化しており、VOC排出抑制ガイドラインの普及を進めています。これにより、建築現場や製造現場でのVOC削減が義務化・推奨されつつあります。
2. 技術の進化
従来の水性塗料は耐久性に課題がありましたが、新しい樹脂技術やナノテクノロジーの導入により、高耐候性・高耐久性を備えた低VOC塗料が登場しています。屋外でも十分な性能を発揮する製品が増えています。
3. 企業の取り組み
大手メーカー各社は「ゼロVOC」や「超低VOC」を掲げた製品開発を進めており、住宅用から商業施設・工場まで対応可能なラインナップを充実させています。特に欧米ではLEED認証などの環境基準適合を重視する動きが広がっており、日本でも同様の傾向が見られます。
4. 消費者意識の変化
住まい選びやリフォームにおいて「健康」「環境」への配慮が重要視されるようになり、低VOC塗料の需要が高まっています。DIY市場でも、扱いやすく安全性の高い低VOC製品が人気です。
施工時の注意点
低VOC塗料であっても、施工時の換気は欠かせません。
- 施工中・施工後は十分な換気を行う
- 必要に応じて防毒マスクや手袋を着用する
- 乾燥時間をしっかり確保する
まとめ:低VOC塗料で環境にも健康にもやさしい暮らしを
低VOC塗料は、健康被害のリスクを低減し、環境にも優しい選択肢です。
これからリフォームや新築、塗り替えを検討している方は、「低VOC塗料」を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
適切な製品選びと正しい施工で、人にも地球にもやさしい住まいを実現しましょう。