2024.03.17

ケレン作業軽減商品特集

鉄部においてはケレンの良し悪しが塗替え後の塗膜耐久性を大きく左右します。

従って鉄部の塗替えに際しては、十分なケレン作業が必須なのですが、周囲の環境や対象物の形状により、さびを全て除去できるとは限りません。

狭隘部や配管類の継ぎ手部などさびの除去が困難な箇所はいくらでもあります。除去しきれず残存したさびは進行して、塗膜の寿命を縮めます。

そんな時役に立つのが「素地調整軽減剤」「さび転換剤」などと呼ばれる特殊下塗材です。そんな下塗材をピックアップしてみます。ぜひ鉄部塗装の省力化にお役立てください!

 

塗布形素地調整軽減剤『サビシャット』~さび層内の水分を除去し、鋼材表面を不動態化~ 大日本塗料株式会社

「鉄」と「塗料」から連想されるメーカーと言えば何と言っても「大日本塗料」です。

東京スカイツリーや東京湾ゲートブリッジなどに同社のフッ素塗料が塗られているのは有名な話ですが、その大日本塗料が販売している素地調整軽減剤が『サビシャット』です。

「さびを固定化しても水分や腐食性イオンが残留してしまえばさびは進行する」という考えから、同商品は湿気硬化成分が水分を取り込み、腐食性イオンを水不溶性の塩として固定化、鋼材素地を不動態化するというメカニズムが特徴になっており、4種ケレン程度の素地調整で高レベルな下地づくりを可能にしています。

まさに物理的素地調整を塗布形に「転換」した商品と言えます。ただし、さび層への浸透については限度があるので、使用する際はさび層の厚みを100μm以下に調整する必要があります。

国土交通省の「NETIS」登録商品であり、平成27年度の推奨技術に選定されている商品です。

 

悪素地面用浸透性エポキシシーラー「ラストボンドSG」~強靭な塗膜が周囲の塗膜ごと固着~ ジャパンカーボライン株式会社

美しい黄緑色をしたこの塗料は乾燥こそ遅いのですが、97%が加熱残分というハイソリッド型で、1L中に含まれるVOC(有機化合物)はわずかに37gです。

最大の特徴は、その浸透力の高さと内部応力の小ささで、例えば、強溶剤の浸透形エポキシさび止めをさびに塗付すると、周囲の塗膜がめくれ上がり、乾燥後に皮スキで除去するなどの手間がかかりましたが、『ラストボンドSG』を塗布すると周囲の塗膜の下に入り込みさびと共に塗膜も固着します。

更に内部応力が小さいので乾燥時に旧塗膜がめくれ上がるリスクも小さくて済みます。前述の通り乾燥は遅く、上塗り可能時間は20℃でも最短24時間ですが、乾燥後は見ても触れても「効果が高そう!」な塗膜を形成します。一度お試し頂きたい商品です。

 

 

さび転換型特殊プライマー『トリック1000~赤さびを固着化させて黒さび化を促進させる~ 日本パーカライジング株式会社

日常私たちが目にする「赤さび」は鉄が水・酸素の影響によりイオン化する事で発生します。

その結果、生じる赤さびは進行するさびであり、放置すればどんどん広がっていきます。これに対して「黒さび」と呼ばれる進行しないさびがあります。

さび転換型プライマーである『トリック1000』はさび層に浸透してこれを固着化して、特殊添加剤の作用により、腐食環境下においてさび層の黒さび(マグネタイト=四酸化三鉄)化を促進します。

ケレンは3種ケレン程度を推奨しており、浮きさびや層状さびは除去の対象になりますが、前出の『サビシャット』『ラストボンドSG』が次工程でさび止め塗料塗付が必須であるのと異なり、

さび止め(工程は2回塗り)を兼ねた1液タイプになりますので使いやすさは抜群です。